今日も犬たちは捨てられていく

さらに、日本レスキュー協会では、この活動にもう1つ別の目的も意図していた。

現在日本では、空前のペットブームと言われ、約2000万頭という犬や猫などがペットとして家庭で飼われているが、その一方で、年間約20万頭という犬が処分されるという状況がある。

「安易に犬を飼い、安易に犬を捨てる」という人間のマナーが一番の問題だが、最近の生命を軽んじるという風潮がこのような状況を生み出しているのだろうか。

「小さいときは可愛かったが、大きくなったのでもういらない…」

「むやみに吠えたりして近所迷惑なので…」

「引越し先では、ペットが飼えないので…」

「飼い主が年をとったので、やむを得ず…」

さまざまな理屈がつけられ、今日も犬たちは捨てられていく。犬には何の罪もなく、すべて飼う側の人の問題である。

日本レスキュー協会では、このような状況をただ嘆いているばかりではなく、自分たちが出来る事は何なのか、どのようにすれば人の意識を変えていくことが出来るのかという取り組みを始めようとしていた。

飼い主から見放され、殺処分されようとしている犬たちを自分たちの手で救い出す。そして、人や他の犬に馴れたり、トイレのしつけや服従訓練を施した上で、セラピードッグとして第2の犬生を歩み、その姿をたくさんの人に知っていただき、「いらない!」と言われた犬でも人間次第で犬の運命が変わる。

捨てられ、殺処分されようとした犬たちを救いだし、その犬たちが度は人間を救う。

このような循環がもし可能ならば、本当の意味での人間と動物との共生関係の実現であり、理想的なあり方ではないだろうか。