97. 「年賀状」

実父が亡くなって以来、年賀状の断りを入れたのは久し振りだった。 確か18年ぶりだ。

本来、年賀状というのは遠くに居る親戚、友人や知人に 日頃の無沙汰を詫びるのと元気で暮らしていることを知らせるための手段であったが、最近は近くに住んでいる人や毎日のように会う人にでも 交わすようになった。

そのため、付き合いの多い人ほど毎年、多くの枚数を書かねばならず、郵政局に貢献していることになっている。

そういう私も300枚ほど、毎年書いているが、パソコンソフトで便利になったとはいえ、決して楽とは言えない。本当に出さねばならない遠くの親戚や知人だけなら50枚もあれば充分だし、年末の忙しい時期でも苦にならないが、正直言って現在のようにメールや携帯などの通信手段が当り前のようになっている世の中で多くの賀状を印刷して送るのは何故か時代遅れのような気がしてならない。

義父が亡くなり、喪中のお断りを入れた今年はコマーシャルか義理の賀状を入れて30枚ほど来たが、これを機会に来年は激減すると思われる。

礼を失するかも知れないが、現役で働いている間は義理返しで賀状を書いても、定年後は身の回りを整理する意味でも年賀状から付き合いを少なくしていこうと思っている。これまで仕事や趣味を通じて多くの人と付き合ってきたが、そのたびに賀状の枚数も増え、このままでは 終始の付かないような状態になる恐れがあり、喪中はひとつの区切りで もう一度、賀状の意味を考えさせてくれた元旦の一日であった。