86. 「植樹祭」

先日、さる大手スーパーが地元で開業されるのにちなんで、植樹祭が開催された。

地域の主だった人を始め、私も招待を受けたが、一般公募を含めると三千人もの人が集まった。広い敷地の周囲に盛り土がされてあり、そこに班分けされた人々が各リーダーの指示の元に色々な木々を植えるのだ。参加者には全員、小さなスコップが無料で配られた。普通ならば名士だとか代議士などが黄金色の鍬やスコップを持って最初に見本となる植樹をするのだが、この日はそういうイベントは一切なく、一斉に始められたのには好感が持てた。

元々、このスーパーの名誉会長はこのような行事を通じて日本国内に緑を広げようとするのが好きなのか、各地のチェーン店でも同じことをしているらしい。何でも民主党の岡田代表がこの名誉会長の息子か孫に当たると参加者の一人から聞いたが、このスーパーがそういった方の系列会社だとは知らなかった。

私も数万本のうち、10本くらい植樹したが、低木、中木、高木と交互に移植していって、これらの木々が成長し、やがてこのスーパーが緑に覆われた市民の憩いの場になれば素晴らしいと思った。

早いもので高木は5~7年くらいで7~8メートルの高さに育つと言っていたが、多くの子供達も一生懸命、植樹祭に参加しており、この子達が成人する頃には立派な森になっているだろう。

心配なのは台風などの自然現象による倒木や経営不振による企業の撤退によって、管理されないまま、朽ちていくことである。大手銀行や 保険会社でさえ倒産する憂き目に遭っているのだから、このスーパーも決して安泰とは言えない。願わくば市民の手で緑の財産を守り続けて、例え、そのようなことが起こったとしても、自分達の手で植えた木々が毎年、若葉を実らせるように努力したいものである。