23.あとがき

 この物語の骨子となるオリジナルは英国に墓参した後、私家本として、500部作成し 関係者に無料で配った。題名は「アンと息子のために」である。

 出版してさらに十数年が経過した。この本もアンの墓の事も忘れられて久しいが、 ある日、自宅のパソコンでペット動物の福祉活動をされている方のホームページを開いて 見ると、「佐藤さんの書かれた本を探している」と言う記事を見つけた。

 贈呈したいものの、我が家には二冊しか本がなく、これは息子のために大事に残して いるものである。どうせなら、新たに編集して再版し、自費出版でなく本屋さんの店頭に 並べて頂いて、より多くの日本人にアンの墓のことを伝えたいと思い、数社の出版社に 声をかけたが、現在のように不況の折、色よい返事は頂戴出来なかった。

 そこで、何とか伝える方法を考えた結果、自分でホームページを作成して、最初は限られた 人しか見なくとも、少しづつでもその輪を広げていけば良いだろうと、挑戦することにした。

 ホームページどころか、パソコンをさわるのも苦手な自分に、どれだけ小生の気持ちを お伝えすることが出来るか、不安いっぱいであるが、これを読んで頂いた方に一滴の涙でも 流して頂ければ、異国の地に眠っているアンにとっても本望であろう。

※関西支部注:私家本(自費出版)「アンと息子のために」は、その後2004年(H16)に佐藤氏とアンの物語の部分に焦点を充てた形で「カタカナの墓碑」というタイトルにて、ジュリアン出版社(現(株)Jパブリッシング)より出版されました(現在は絶版)。