23.「ペット考」

コンパニオンアニマルの必要性が重視される中で、最近はテレビコマーシャルなどでも放映される通り、ペットブームで多くの方が犬を飼い始めているらしい。でも、日本人の悪い癖なのか、はたまたペット産業の戦略に乗せられているのか、飼われている犬の殆どが流行犬種である。盲導犬として知られるゴールデンレトリバーはつい、最近まで余り見かけなかったのに町のあらゆる場所で見ることが増えた。チワワやマルチーズ、ハスキーがもてはやされた時代は数年で過ぎ去り、日本在来種の犬は見ることも稀になってしまった。

犬の平均寿命は13~15年あるのに、それらの犬を飼っていた人々は一体、どうしてしまったのだろうか?まさか、「不要犬」として都道府県の収容所に持ち込んだり、捨てたりしていないだろうか?捨て犬として捕獲される犬には、かつてこのような流行犬種も多いと聞く。人里離れた山中にはハスキーが野犬となってたむろしていたとの情報もある。

どんな犬でも子供の頃は可愛いくて、家族の愛情を一心に集めるが、成長とともに個性が発揮されて、外観的な愛くるしさも薄れてくるのは当然である。代わりに、主人や家族には絶対服従の姿勢を強め、特に、一人暮らしの家庭や、障害を持った人達には頼もしい存在になるのである。家庭内や会社、学校で嫌なことがあっても、無垢の態度で喜びを表してくれる存在は飼い犬特有であろう。まれに、主人のいう事を聞かない、やたらと吼えたり、噛み付いたりする犬もいるが、それも、飼い主のケアが原因であって、最初からそのような犬は存在しないと思って欲しい。咬傷事件の結末は当該犬の殺処分で、飼い主は軽い罪に問われるだけで、終わってしまうケースが多いが、このような飼い主には以後のペット所有を禁止する法律も必要だと思う。

家族同然のペットに対し、簡単に捨てたり、収容所に持って行ったりする気持ちが理解出来ない。これが例え、仕事の都合などで引越しを余儀なくされたり、自宅の環境で飼えなくなったという理由でも同じである。もし、我が子であればそんなことができるかという事を自問自答して頂ければわかるはずである。

犬はオモチャではなく、人間と同じ感情動物だし、外国の犬も日本の犬もすべて、差別されることなく、一生を飼い主とともに送りたいと願っていることを理解してあげて欲しい。