親愛なる佐藤さんへ
私はアン・ロスの母親です。
あなたがアンについて書いてくださった日本動物福祉協会、大阪支部会報の1981年7月号を最近受け取りました。アンについて書いて下さろうと決心なさったこと、また、アンの動物に対する態度や彼女の実験動物の世話の仕方が見習うに価するし、動物の世話の基準の向上に役立つと気づかれ、あの文章を書いてくださったことを心より感謝しております。
悲しいことに、アンはあなたが書いて下さったことを知らずに他界しました。あの娘が知りましたらどんなに喜んだことでしょう。
彼女の働いた全ての大学病院の実験動物に携わる人々に理解してもらいたいと努力していたことを、あなたがわかっていてくださったことを知ることが出来ましたら……。
また、動物管理センターでも同じように理解してもらえたら……。
どうか、人道的な方法をアンのためにも続けてくださるようお願いいたします。
アンはもうこの世にはいませんが、あなたのような方が他のケアテーカーの方々にお伝えいただき、例え術後死んでいく動物でも親切に、優しく、また出来るだけ苦痛のないような処置をなさるようにお願いしたいと願っております。
ロンドン福祉協会の会報「アンの追悼号」のコピーをお送り致します。その中にあなたの記事も載ってます。
アンの写真も一枚お送りします。
これはアンが日本に行く前に、友達の結婚式での付添い人として撮ったものです。
また、後日アンが眠っている場所の石と墓碑の写真をお送りします。もしかしたら、佐藤さんがいつの日かイギリスにいらっしゃる機会があるかも知れないし、その時、アンの墓参りをされるかも知れませんものね?
アンは日本に戻って仕事を続けられないことを非常に残念に思っておりました。彼女は日本で仕事をしたいと思っておりました。
しかし、運命は皮肉なものです。今は思い出しか残っておりません。しかし、10年たった今も、あなたがアンのことを思い起こし、彼女の仕事をあなたが引き続きやって下さっていることを思うと、アンが日本に住んで働いたことが決して無駄ではなかったと思います。
本当にありがとうございました。
キャサリン・ロス