08.「ペットのしつけ」

子犬を貰って飼ったのは良いが、家の中で大小便をしたり、一晩中鳴いてご近所にご迷惑をかけるといったことが多い。また、成長するにつれて、凶暴性が現れて、むやみに人を見ると吼えたり噛付いたりする犬もいる。小さい時は家族の愛情を一心に受けた犬がちょっとしたしつけを怠った為に、その家族からも見放されてしまうケースほど悲しいものはない。不要犬として保健所に連れて行かれたり、野山に放置されたりする犬の中にもこのような事例が多いのではないだろうか?このような不幸な犬を出さない為にも、この章では簡単なしつけ方をご紹介して、参考にして頂ければ幸いである。

・大小便のしつけ方

 子犬の時は場所を選ばず、大小便をするものだ。オスメスを問わず、急に落ち着きを無くし、周囲の匂いを嗅ぎ回ったあげく、ここぞと思う場所で、腰を落として排泄する。飼い主が気が付いて、排泄が終わってから時間が経過しているのに怒ったりしても遅いのである。犬は何故怒られているか理解していないのが普通である。日頃から注意して、犬の行動を観察していれば大体において、排泄時の行動がわかってくるようになる。犬は一旦、排泄した場所はしっかり覚えていて、催した時は必ず、同じ場所に来るとそこで排泄するようになるので、その時を見計らって、そわそわした時に怒るのだ。万が一、排泄中でも叱れば効果はある。室内に専用のトイレを設置してある場合や、野外で排泄させようと思っている方はこのタイミングを上手に利用するのである。これを繰り返していくうちに、徐々に指定外の場所で排泄すれば叱られるという学習が完成され、成長してもむやみやたらに室内のそこかしこで排泄をしなくなる。もし、室内の指定以外で排泄した場合でも大小便を始末した雑巾やティッシュ等を指定内の場所に置いておくと、自分の匂いがついている場所なので、安心してそこで排泄するようになる。

・無駄吼えを防ぐ為に

 これは、成犬の場合は難しいが、やはり、子犬の時にしつけをすれば、改善出来る問題である。

 犬の鳴き方にも色々種類があって、悲しい時や寂しい時、機嫌が悪い時、嬉しい時、不安な時など、その時の心理的条件によって随分違う。

 のべつくまなく鳴いている犬は何か訴えているのである。人間には会話という機能が備わっているが、犬にも鳴き声という会話手段があることを忘れてはならない。普通、親から離されて貰って来た子犬は寂しさのあまり、飼い主が傍にいない時は始終鳴く。それでも、周囲の環境に慣れてくると、徐々に鳴く回数が減ってくる。本当は一番寂しい一週間くらいはそのたびに傍にいてやれば良いのだが、飼育環境の違う家ではそうもいかない場合もある。

次に不安や恐怖心のあまり、吼える犬も、飼い主がそのたびに叱るようにしなければならない。例え、夜中であっても吠え出したら、すぐに飛んでいって、異常がなかったらきつく叱る。これを繰り返すことによって、犬は賢い動物なので害を及ぼさない人と怪しい人の見分けが出来るようになる。最初は新聞配達の人や散歩途中の人でも、おかまいなしに吼えていた犬も実害を与えそうな人以外は吼えなくなる。自分と家族を守ろうとしている行動なので、むやみやたらに叱るのは可哀想だが、ご近所と仲良く暮らす為にはやはり、無駄吠えの癖はつけないほうが良い。成犬になっても誰彼なしに吼えている犬はこのような処置をまったく取らず、単なる「番犬」程度に考えているとしか思えない情けない飼い主だと考える。