07.「ドッグフード考」

 犬には鳥の骨付き肉や魚の骨付きを食べさせたら駄目だということをよく耳にする。本当だろうか?我が家では鳥であろうと魚であろうと、何でも与えているが問題になったことはない。骨片が割れて胃壁や内臓を傷つけるというのが理由らしいが、元々、犬は野生の中にあって、諸々の動物を食べてきた歴史がある。ライオンより強い顎と歯を持ち、多少の硬い物なら何でも噛み切って食べる能力を有しているのが犬族であろう。これは「ドッグフード」というものが出て来てから一般の飼い主に浸透した食生活の変遷と小生は見る。

昔は家族と同様のものを食べ、ご飯の余りであろうと、魚の煮汁などをかけてやると喜んで食べたものだ。ところが、最近では特に都会の犬に見られる現象として、虫歯が増えているという。確かにドッグフードは栄養学的にも、嗜好の上でも考えられた食べ物として多くの飼い主が与えているし、毎日の給餌の種類に悩むことはない。しかし、上記で述べたように犬の生理学的特長から見れば、本当にドッグフードは最良のエサであろうか?軟らかい方が良く食べると言って、犬にとってはカステラのようなドッグフードが流行っている。そのおかげで、顎の骨は退化し、歯間にエサの残渣が残り、虫歯の原因を作っていることを知らない方が多い。犬の歯は元々、人間に比べて隙間が多く、食べ物の残渣が残りにくい形状になっている。

 ところが、ドッグフード以外にも甘いものを食べさせたり、そうすることが家族の一員としての愛情だと勘違いしていらっしゃる方もいる。

 甘味料は癖になりやすいので、そういうものを与えていれば、益々、他の食品は食べなくなり、強いては虫歯犬を増やすことになる。

 本当に自分の犬が大事だと思うなら、是非、昔のように魚や骨付きの肉などを食べさせて欲しい。一度で食べ切れなくても、犬は賢いので、必ず庭の片隅に埋めたりして、その場所を覚えている。数日して、骨が食べやすくなった頃を見計らって、何度でもしゃぶったりする。硬いものをしゃぶることによって、唾液の滲出が促され、虫歯予防になるのは人間と同じである。せっかくの犬の生理を人間の勝手な思い込みで病気にしてしまわないよう、ペット愛好者は心がけて欲しい。