06.「犬の病気対策」

大事な家族であるペットを病気から守るため、飼い主も動物の病気と簡単な治療方法を知っておくことは重要です。「へー!犬でもこんな病気になるの?」という事を良く聞きますが、人間と同じで、風邪も引くし、腹痛も起こします。ここでは特に犬の解剖生理学、病気と治療方法について、言及しておきますので、ご参考にどうぞ!

・解剖

(脊柱)頚椎7本、胸椎13本、腰椎7本、仙椎3本、尾椎16~23本。

(乳歯)切歯3/3、犬歯1/1、前臼歯0/0、後臼歯3/3、計28本。

(永久歯)切歯3/3、犬歯1/1、前臼歯4/4、後臼歯2/3、計42本。

(肝臓)体重の約3%、両側に左葉と右葉があり、方形葉、尾状葉と乳頭突起からなる。

(肺)左肺に前葉、中葉、後葉があり、右肺にはこの他、中間葉がある。

(消化管)体長の約5倍で小腸と大腸の太さはほぼ同じ。盲腸は屈曲しており、結腸は短い。

(生殖器)オス~精巣、精巣上体、精管、前立腺、陰茎からなる。

     メス~卵巣、卵管、子宮角、子宮体、膣、陰門からなる。

・生理

(体重)特別なものを除いて、8~20キログラム。

(繁殖可能日齢)オスで10~15ヶ月、メスで6~12ヶ月。

(性周期)発情期は一般に春から初夏にかけて。

(妊娠期間)58~66日、平均63日。

(離乳)4~5週齢(乳腺は4~6対ある)

(産仔数)平均5匹。セントバーナードは多産系。

(寿命)10~15年(平均13年)

(体温)幼犬で38.5度から39度。成犬で37.5度から38.5度。

(呼吸数)一分間に23回プラスマイナス2回(安静時)

(血圧)最高血圧が108~189、最低血圧が75~122。

(心拍数)一分間に90~120回

(赤血球)670万~700万。

(白血球)12,900~14,600。

・疾患と予防対策

(ジステンパー)幼犬に多く、4~5日の潜伏期間においては40度以上の発熱が見られる。外見症状は目やに、鼻汁、鼻鏡の乾燥、血便等が見られる。獣医師に頼んでワクチン投与を事前に行っておくこと。発症後は解熱剤、抗生物質等の対処療法しかない。

(伝染性肝炎)離乳後、一年未満の犬に発症。3~9日間の潜伏期があり、発熱、黄疸症状が見られる。ジステンパーワクチンとの混合ワクチン投与を獣医師に頼んでおく。これも発症すれば対処療法しかない。

(犬パルボウィルス)幼犬に多く、水様性の下痢(トマト状下痢)を伴い、白血球減少、発熱、食欲不振の後、極めて短時間で死亡する。このワクチンも獣医師に頼んで投与してもらうことが出来る。

(狂犬病)咬傷による発病。我が国では昭和以降は極めて発症例数が少ないが、最近では外国産の動物の輸入が盛んに行われている。現状ではいつまた、過去の悲惨な問題が起こる危険性がある為、ワクチン投与は法律で定められている。

(レプトスピラ)細菌性の病気で、ドブネズミの尿から感染する。40度以上の発熱を伴い、口腔粘膜に出血斑が見られる。

(イヌブルセラ病)牛や猫のブルセラ病と近似。発熱、副睾丸炎を伴い、流産の原因ともなっている。

(結核)人からの感染であるが、犬間の感染は稀。本疾患を含めて、以上の細菌性疾患は抗生物質投与で治癒する確率が高い。

(フィラリア症)犬を飼っている人なら誰でも知っている病気であるが、その実態を見た人は稀であろう。終末臓器である心臓の肺動脈にソーメンのように団子状になって成虫がはびこっている。放置していれば循環器障害を起こし、死亡する。幼虫であるミクロフィラリアの媒体は夏に発生する蚊であるが、最近は一ヶ月に一度、投薬すれば予防できる薬がある。        

(腸管内寄生虫)回虫、条虫、鈎虫、鞭虫など色々あるが、それぞれが寄生する場所が盲腸、結腸などに限られる。下痢、血便などの諸症状を伴い、削痩、貧血で元気消失になる。獣医師に相談して、治療薬を投与する。

(外部寄生虫)ダニによるアカラス、カイセン等であるが、放置すると皮膚の炎症がひどくなり、全身の毛が脱落することもある。売薬でも良いが、市販のアースやキンチョールを少し離して噴霧すると効果がある。一ヶ月ほど続けると、患部は綺麗になり、脱毛した皮膚も元通りになる。

(その他)食中毒が原因と思われる下痢には人が飲んでいる「正露丸」が意外な効果があることは一般に知られていない。我が家では従来の犬に投与して、治療して来たが、殆ど翌日には下痢が止まった経験をしている。また、風邪引きなどが原因の鼻水、発熱等は医者から貰った解熱剤、抗生物質を体重換算で薬を分断して、投与すると、それでも効果があるので、信頼のおける獣医師が近くにいない時は試して頂きたい。