ささやかだが大切な第一歩

幸いというべきだろうか、ちょうど協会では来期からの事業計画として、「セラピードッグ・メディカルセンター」という構想を新たに打ち出したところであった。

それは、捨てられ殺処分される予定の犬をセンターが保護し、セラピードッグとして専門的に訓練・育成した上で、関西各地の福祉施設へ無償で譲渡していこうという構想であった。

殺処分される犬を少しでも助け、また捨てる人を一人でもなくし、犬たちの環境を変え、人とよりよい関係でいられるよう社会貢献することが目的である。

数多くの人たちや団体からの寄付金を元に、伊丹市に土地を取得して、2003年9月の完成を目指して施設を新築するという、日本では初めての本格的訓練施設建設のプロジェクトが動き出していたのだ。

スタート時点での計画では、わずか11頭分の犬舎しかないささやかな施設ではあるが、檻の中にいる犬たちを一頭でも多く救うため、大切な第一歩を踏み出そうとしていた。